AWS 入門ブログリレー 2024 〜Amazon Q Business編〜

AWS 入門ブログリレー 2024 〜Amazon Q Business編〜

Amazon Q Businessについて2024年時点の情報をまとめてみました。AWSサービス入門記事として是非ご活用下さい。
Clock Icon2024.05.28

こんにちは。AWS事業本部コンサルティング部に所属している森田です。

当エントリは弊社 AWS 事業本部による『AWS 入門ブログリレー 2024』の 54日目のエントリです。

このブログリレーの企画は、普段 AWS サービスについて最新のネタ・深い/細かいテーマを主に書き連ねてきたメンバーの手によって、 今一度初心に返って、基本的な部分を見つめ直してみよう、解説してみようというコンセプトが含まれています。

AWS をこれから学ぼう!という方にとっては文字通りの入門記事として、またすでに AWS を活用されている方にとっても AWS サービスの再発見や 2024 年のサービスアップデートのキャッチアップの場となればと考えておりますので、ぜひ最後までお付合い頂ければ幸いです。

本記事のテーマは『Amazon Q Business』です。

Amazon Q Business の説明に入る前に、まずは Amazon Q のおさらいをしていきましょう。

Amazon Q とは

Amazon Qは、ビジネス・開発といった様々なユースケースにあった生成 AI を素早く利用できるサービスです。

Amazon Q の種類

Amazon Qの中でも、ユースケースごとでサービス名が分かれています。

  • Amazon Q Business
  • Amazon Q Developer

本ブログでは、触れない「Amazon Q Developer」ですが、開発者向けの生成AIサービスとなっております。

旧CodeWhisperer や Amazon Q Code Transformation は Amazon Q Developer に含まれます。

では、『Amazon Q Business』について詳しくみていきます。

Amazon Q Business とは

Amazon Q Business は、生成 AI を利用する際に必要な認証認可・LLM・RAG・データソース・WEBインターフェースなどをまるっと準備してくれるサービスとなります。

2024/05/28時点では、Amazon Q Business は、英語のみサポートされており、日本語ドキュメントをデータソースとすることやWEBインターフェース上での日本語での回答はできません。

Amazon Q Business の全体像

具体的には、Amazon Q Businessでは、下図ようなリソースを構築します。

では、Amazon Q Business の各リソースや機能について説明していきます。

データソースコネクタ

データソースから情報を取得するコンポーネントを「コネクタ」と呼び、40以上のコネクタが用意されています。

Supported connectors - Amazon Q Business

また、ユーザーストア機能を利用することで、データソースから情報を取得するタイミングで、各ユーザと情報のマッピングを行い、アクセスできる情報を絞ることも可能となります。

インデックス

インデックスとは、データソースの情報を保存する場所のことを指します。

インデックスには、データソースコネクタを用いて取得したデータをRetrieverが扱いやすい形式(ベクトル化等)に変換して保存されています。

インデックスについては、Starter Index と Enterprise Index が用意されており、それぞれでデプロイされるアベイラビリティーゾーン の数が違います。

また、インデックスは「ユニット」と呼ばれる概念があり、インデックスで扱うことができるデータ量を表します。

  • 1 ユニット
    • 100 時間分のコネクタの使用
    • 20,000 件のドキュメントまたは 200 MB の抽出されたテキスト (いずれか早く達した方)

このユニットをインデックスに割り当てますが、割り当て可能な最大値がインデックスタイプごとに異なります。

  • Starter Index
    • 1 ~ 5ユニット
  • Enterprise Index
    • 1 ~ 50ユニット

Retriever

Retrieverでは、入力された質問やクエリに応じて、インデックスから目的のデータを取得します。

Amazon Q Businessでは、Native Retriever と Amazon Kendra の2つが用意されています。

Native Retriever は設定項目が少ない反面、細かいカスマイズが難しいです。(例えば、日本語についてはインデックス化できません)

LLM

Amazon Q Businessでは、利用するLLMについては意識する必要はありません。

なお、ドキュメント上では、Amazon Qは、Amazon Bedrock で構築されているとの記載があるため、LLMについてもBedrockで展開されていると考えると良さそうです。

ID管理

ID管理については、プレビュー版では、外部 ID プロバイダーを直接利用できていましたが、一般利用開始時より IAM Identity Center のみのサポートとなっています。

従来の ID管理を使用している既存の Amazon Q アプリケーションは2024 年 7 月 31 日までに、IAM Identity Center を使用するよう移行する必要があるので、ご注意ください。

IAM Identity Centerで統合を行えば、IAM Identity Center経由で外部 ID プロバイダーを利用することも可能です。

なお、IAM Identity Center については、Amazon Q Business​で自動で作成はされません。(コンソール上からであれば、ワンクリックで作成可能です。)

Webインターフェース

エンドユーザがアクセスするためのWebインターフェースが標準で用意されています。 また、スタート画面の文言の変更等の簡単なカスタマイズも可能です。

また、会話履歴を 30 日間保存し、会話終了後も会話のコンテキストを維持することができます。

30 日間の期間内であれば、中断したところから会話を再開できます。

Amazon Q Apps

Amazon Q Appsは、2024/05/28時点ではプレビュー版の機能となっています。

Amazon Q Apps はコーディングなしで、欲しいアプリを自然言語で説明するだけ独自のアプリケーションを作成することが可能です。

機能としては、PartyRock と近いですが、Amazon Q Appsでは、インデックス化した情報も扱うことができるため、よりビジネスの観点で活用しやくなっています。

また、作成したアプリケーションは、チーム内で共有することもできます。

プラグイン

プラグインでは、直接アプリケーションから処理の実行が可能となります。

組み込みプラグインとして、Jira、Salesforce、ServiceNow、Zendesk などがサポートされており、

例えば、ユーザが Jira チケットの作成などをアプリケーション上で入力することで裏側で処理を実行して、実際にJira チケット作成を完了させることができます。

組み込みプラグインの他にもカスタムプラグインとして、OpenAPI を実行することもできるので、非常に便利な機能となっています。

ガードレール

ガードレールとして、グローバルコントロールとトピックレベルのコントロールがあります。

グローバルコントロール

グローバルコントロールでは、アプリケーション利用時の以下の制御が可能となります。

  • 応答設定
    • エンドユーザーが LLM に直接クエリを送信できるようにする
    • Amazon Q が LLM ナレッジにフォールバックできるようにする
  • ブロックされたフレーズ
    • アプリケーションに対してブロックされるフレーズを定義
  • 機能制御
    • ファイルアップロード機能
    • Amazon Q Apps

トピックレベルのコントロール

トピックレベルのコントロールでは、事前に想定される質問に対しての回答の制御が可能となります。

以下のように想定されるメッセージのサンプルとそのメッセージを受けた時の振る舞いを定義することができます。

なお、このコントロールについては、最大2つまでの指定となります。

利用可能なリージョン

2024/05/28時点では、以下2つのリージョンのみ対応となります。

  • us-east-1
  • us-west-2

Service quotas for Amazon Q - Amazon Q Business

料金体系

インデックスと利用ユーザ数に対して料金が発生します。

インデックス

タイプ 1 ユニットあたりの料金
Starter Index 0.140 USD/時間
Enterprise Index 0.264 USD/時間

利用ユーザ数

ユーザのタイプとして、LiteとProがあり、それぞれで利用できる機能が違います。

Amazon Q Business Lite Amazon Q Business Pro
IAM Identity Centerとの連携 ⚪︎ ⚪︎
Webインターフェースでの利用 ⚪︎ ⚪︎
Amazon Q Apps の利用 × ⚪︎
カスタムプラグインによる機能の拡張 × ⚪︎
Amazon Q in QuickSight (Reader Pro) × ⚪︎
利用料金 3 USD/ユーザー/月 20 USD/ユーザー/月

上記は、2024/05/28時点の料金ですので、詳しくは以下をご参照ください。

おわりに

Amazon Q Business は、生成AIを素早く活用する際には、非常に便利なサービスとなっています。

また、基本的には、コンソール上で数クリックだけで、Webアプリケーションを構築できるため、気になったら試してみると良いと思います!

スキルビルダーで構築方法のコンテンツもありますので、ぜひチェックしてみてください。

以上、『AWS 入門ブログリレー 2024』の54日目のエントリ『Amazon Q Business』編でした。

次回は弊社べこみんによる『Amazon GuardDuty』の予定です!

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